『これからの美術がわかるキーワード100』(美術出版社)を教科書とした「〈現代アートの批評/美学/理論〉NADiffで学ぶ、現代アート連続講座」が開講中!本書の執筆陣たちが、2010年代で注目すべきアートの動向、新概念、現象を、「メディウム」「美術批評・動向 欧米編/日本編」「美学・芸術理論」という側面から全4回に渡ってレクチャー。今日の現代アートへの理解を深めると共に、未来のアートを展望できる基礎力を身に着けます。
開講日:2019年 6月7日(金)、7月12日(金)、8月9日(金)、9月6日(金)
場 所:NADiff a/p/a/r/t 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F
受講費:1回券 2500円(学生:2000円) 通し券 7500円(学生:6000円) 販売終了
申込み:要予約 / 前払い制(ご入金をもって、ご予約完了となります)
【お申し込み方法】
①NADiff ONLINESHOP : >>チケットご購入ページ
※クレジットカードでのお支払のみ(お支払完了後、ご予約受付完了のお知らせをお送りいたします)
②ナディッフアパート店頭 :現金でのお支払をご希望の方は、事前にご来店の上レジにてお申し込み下さい
お問い合わせ:NADiff a/p/a/r/t Tel.03-3446-4977
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本講座では、「メディウム」という語をとりあげます。メディウムには、おそらく二つの力能があります。①イメージ形成・生成能力 ②イメージ維持能力。アリストテレスの区分に従えば、①は可能態・潜勢力 ②は現実態と言い換えることもできるでしょう。メディウムの自同律的な同一性・反復を強調するモダニズムの言説が依拠してきたのは、②の側面に過ぎません。ですが、メディウムのなかには、この、相対立する二つの力能がせめぎあい、その内部には、抗争が、政治が渦巻いています。多くの造形芸術は、この、対立しあう二つの力能をどのように調停し、和解させるかという課題を抱えてきました。つまり作品とは、可能的なもの(デュナミス)と現実的なもの(エネルゲイア)の摩擦、もつれのなかから現れ、実現されたものなのです。こうしたことを起点に、メディウムという概念について、いま語りうることについて考えてみたいと思います。
【プロフィール】
沢山遼(さわやま・りょう)
美術批評家。1982年生まれ。武蔵野美術大学、首都大学、名古屋芸術大学等非常勤講師。主な論考に「ウォーホルと時間」(『NACT Review 国立新美術館研究紀要』第4号、2018)、「都市の否定的なものたち ニューヨーク、東京、1972年」(『ゴードン・マッタ=クラーク展』カタログ、東京国立近代美術館、2018)など。
美術館収蔵とインターネット・アートとの関連からブロックチェーンの植民地主義的な側面を論じた、ヘレン・カプリンスキーのテクスト「ブロックチェーン上での収集品管理:美術館の規範への回帰」(2017)について解説します(ブロックチェーンの高度な専門技術については論じません)。また、クレア・ビショップの著作『人工地獄』(2012)所収の「委任されたパフォーマンス」という動向について、制度批判的表現との相違から解説します。その過程で、同書でも大きく論じられた「教育的転回」にも言及する予定です。
【プロフィール】
大森俊克(おおもり・としかつ)
美術批評。1975年生まれ。著書に『コンテンポラリー・ファインアート:同時代としての美術』(美術出版社、2014)、訳書にクレア・ビショップ著『人工地獄──現代アートと観客の政治学』(フィルムアート社、2016)。最近の翻訳に、ヒト・シュタイエル「デューティーフリー・アート」(『美術手帖』2018年6月号)。
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2010年以降の現代美術を「民俗学的転回」という観点から解説します。これまで現代美術は都市型の文化として成長してきましたが、さまざまな周縁へ拡散したのが2010年以後の現代美術の特徴です。ここでいう周縁とは、山村部や島しょ部で開催される地域型の芸術祭だけではありません。アウトサイダー・アートの拡張や、建築や写真におけるヴァナキュラーの前景化、そしてコンセプトより技術を重視した超絶技巧の台頭──。本講座では、それらの現象を(「民族学的転回」ではなく)「民俗学的転回」として整理しながら、2020年代の現代美術を展望します。
【プロフィール】
福住廉(ふくずみ・れん)
美術評論家。1975年生まれ。東京芸術大学大学院、女子美術大学、多摩美術大学、横浜市立大学非常勤講師。著書に『今日の限界芸術』(BankART 1929、2008)、共著に『日本美術全集第19巻─拡張する戦後美術』(小学館、2015)、『「美術」概念の再構築』(ブリュッケ、2017)ほか多数。
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現代美術の世界において、「美学」や「芸術理論」はつねに実践との微妙な距離を保ってきました。たしかに、作品制作やキュレーションの現場において、その時代を特徴づける哲学や思想上のトピックが参照されることは珍しくありません。また、哲学・思想が、同時代の芸術実践から数多くのインスピレーションを受けてきたことも事実です。しかし両者の関係をつぶさに見れば、むしろそこには多くの誤解やすれ違いが含まれていることもわかります。『これからの美術がわかるキーワード100』で取り上げられた「思弁的実在論」「ポストメディウム」「オブジェクト指向存在論」などを例に、その具体的な事例を紹介します。
【プロフィール】
星野太(ほしの・ふとし)
美学/表象文化論。1983年生まれ。金沢美術工芸大学講師。著書に『崇高の修辞学』(月曜社、2017)、『奥村雄樹──ジュン・ヤン』(美学出版、2013)など。共著に『コンテンポラリー・アート・セオリー』(筒井宏樹編、イオスアートブックス、2013)、共訳書に『有限性の後で――偶然性の必然性についての試論』(カンタン・メイヤスー著、人文書院、2016)など。
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【書誌情報】
『これからの美術がわかるキーワード100』
刊行:美術出版社
発売日:2019年4月
価格:1500円+税
*NADiff a/p/a/r/tで『これからの美術がわかるキーワード100』をお買い求めの方は、本連続講座の参加費が500円引きになります。
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