” 叫びの画家 ” の正体
《叫び》の作者として世界中にその名を知られる、エドヴァルド・ムンク。
人間の根幹にある不安・恐怖を鮮烈に表出した作品により、
ムンク自身も狂気や苦悩という側面が強調され、”叫びの画家”のイメージが形成された。
だが、多作だった画業に目を向けてみると、従来のイメージだけでは語ることができない、多様な芸術家像が浮かび上がってくる。
死と病、愛の苦悩に向き合いながらも、欧州各地で意欲的に作品を発表し、晩年まで旺盛な創作を続けた。
そして、自己演出を巧みに行った、意外な戦略家の顔も──。
「ムンク展--共鳴する魂の叫び」を前に、画家・ムンクの真実を、多面的なアプローチから突き止めていく。
<目次>
PART1 人生の軌跡と創作
ムンクをたどるノルウェーの旅 伊東豊子
キーワードで知るムンクの人生と作品世界 小林明子
死と病/海辺の夏/フリーズ/愛の苦悩/溶け合う体/故郷の風景
アートを巡る最新オスロ案内
論考 装飾プロジェクトとしての「生命のフリーズ」 田中正之
人生物語
ムンクをとりまく人々/ムンクの生きた時代を知る用語事典
PART2 作品世界を掘り下げる最新リサーチ
叫び〈The Scream〉とは何か?
《叫び》基礎解説 小林明子
言葉による分析 誰が叫んでいるのか? 亀山裕亮
精神医学による分析 「病理」と「表現」のあいだ 斎藤環
保存、修復の最前線 絵画への科学的アプローチ
ムンクは世界初の自撮り写真家? ニキータ・マティアスに聞く
論考 「自分の人生を書け!」――写真と自伝 クレマン・シェルー
PART3 ムンク以後のアーティストとその影響
アーティストインタビュー
A K Dolven 現代の空気を取り入れた、ムンクへの挑戦
Marlene Dumas マルレーネ・デュマスがムンク展をキュレーション
論考 悪評を武器にする――ムンクの言葉から読む”自己演出” 亀山裕亮
論考 ペインタリーな家族的類似――ムンクと現代絵画 新藤淳
寄稿・対談
O JUN くりかえすむんく
文月悠光 見つめ合う孤独
高田冬彦×市原佐都子 自意識と葛藤のめんどくささを超えて
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