岡﨑乾二郎(1955-)は、1981年3月に個展「たてもののきもち」(村松画廊、東京)で「あかさかみつけ」シリーズを発表し、その日常的な素材からなる軽やかな表現で颯爽とシーンに現れます。以降、絵本、メディア・アート、環境設計、タイル制作、描画ロボットの開発、批評活動に至るまで、多岐にわたるメディウムをひとつのテーブルに載せながら、多くの仕事を達成してきました。
その後、企画監修した「抽象の力」展(豊田市美術館、2017)の開催、書籍『抽象の力』(亜紀書房、2018)の刊行が続き、2019年には同じく豊田市美術館で大規模回顧展「視覚のカイソウ」が行われると、作品と批評活動が不可分のものとして、その全貌を見渡す機会となり、国際的評価と存在感は高まっていきます。
そして2025年のいま、東京都現代美術館で「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展(4月29日~7月21日)が開催されています。コロナ禍を経たこの間に、世界にも岡﨑自身にも大きな転回が起きました。2022年以降の新作群がずらっと並ぶ会場では、驚くべき造形の世界が展開されています。
本特集では、岡﨑の頭の中に折り畳まれている「彫刻の仕組み」「絵画の仕組み」「批評の仕組み」等について、第三者の視点も交えて解き明かしていくことで、この 造形作家の「起こし絵」を立体的に立ち上げてみたい。
アーティスト・インタビューは、現代の資本主義や新自由主義の欺瞞を、様々なメディアを用いて挑発的に暴く作品を発信・拡散するアートコレクティブMSCHF。東京での個展に際して、彼らの考える、芸術の定義、作品と製品の関係、イメージの拡散とその力学について、馬定延が話を聞いた。
SPECIAL FEATURE
岡﨑乾二郎
造形作家の「起こし絵」をつくる
「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」展
撮影=大町晃平
VIEWING SESSION
彫刻鑑賞会
伊藤誠×髙田安規子・政子×冨井大裕×
原田遠×吉川陽一郎×名和晃平
沢山遼=モデレーター 青木識至=構成 稲葉真=撮影
絵画鑑賞会
浅見貴子×堂本右美×山田はじめ×山本雄基
三輪健仁=モデレーター 関貴尚=構成 稲葉真=撮影
岡﨑乾二郎インタビュー01
彫刻の仕組み、絵画の仕組み
沢山遼、三輪健仁=聞き手 永峰美佳=構成
COLUMN
バルバス・プランツ
津田佳紀=文
T. T. T. Bot
辻田勝吉=文
ミルチス・マヂョル
芦澤忠=文
灰塚アースワークプロジェクト
筒井宏樹=取材・文
四谷アート・ステュディウム
高嶋晋一=文
ESSAY
新たな象形の探求──岡﨑乾二郎の彫刻
清水穣=文
岡﨑乾二郎インタビュー02
批評の仕組み
山本貴光=聞き手・構成
DISCUSSION
鼎談:斎藤環×宮本省三×柳澤田実
造形作家・岡﨑乾二郎の現在地
三橋輝=聞き手・構成
ARTIST IN FOCUS
近藤亜樹
神山亮子=取材・文
檜皮一彦
蔵屋美香=取材・文
筒|tsu-tsu
渋革まろん=取材・文
WORLD REPORT
New York/London, Leeds/Berlin/Gdańsk/São Paulo/Hawaii/Anchorage
ARTIST INTERVIEW
MSCHF
馬定延=聞き手・構成
REVIEWS
「SIDE COREとともに『能登半島に行く』」
「SIDE COREとともに『野焼き』
椹木野衣=文
「像の旅 伊藤高志映像実験室」展
清水穣=文
青柳龍太「我、発見せり。」(37)
安藤裕美「前衛の灯火」第14話
プレイバック!美術手帖 原田裕規=文
BOOK
月刊美術史
アートで社会の課題解決したい、展示を企画したい、ワインに関わるイベントをしたい、
書籍を出版したい、メディアに広告を出稿したい……。
アートとワインを軸とした事業のご相談を、課題の発掘から承ります。
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