スケーターの視点で描かれた
流れる景色、いつもの光
山口幸士は、10代の頃から親しんだスケートボードで得た視点を表現にとり入れ、日々の暮らしで目にする風景を描いてきました。身近なものの新たな表情を写し出した作品群は見る人に新鮮な驚きをもたらし、近年注目が高まっているペインターです。
3年間のニューヨークでの活動を経て、2018年より東京を拠点に活動、2022年には出身地である川崎市の工場内で5日間のみの個展「小さな光」を開催し、大きな反響を呼びました。2023年にはGinza Sony Parkのウォールアート企画に選出されるなど、活躍の場をますます広げています。
初の作品集となる本書では、ニューヨークで描いた活動初期の作品から大作に挑んだ最新作まで、約90点を掲載。作家自身がビジュアルページの構成に携わり、紙面ならではの作品体験も魅力の一冊になっています。さらに、川崎市にゆかりのある二人の筆者(川崎市市民ミュージアム学芸員・杉浦央子氏、『ルポ川崎』などの著書で知られるライター・磯部涼氏)による書き下ろしエッセイを収録し、その表現のルーツに迫ります。(日英併記)
これまでの主要作品を網羅したビジュアルページ
ニューヨークで描いた活動初期の作品から最新作まで約90点を収録。スケートボードで得た視点を表現にとり入れた疾走感と浮遊感あふれる作品はもちろん、大作に挑んだ最新の風景画まで収録しています。作家自身がビジュアルページの構成に携わりました。印刷にも拘り、キャンバスの表面の質感や、光の表現など細部までご覧いただけます。
川崎市ゆかりの著者によるエッセイを収録
川崎市市民ミュージアム学芸員・杉浦央子氏は、ニューヨークでスケーターとして活動していた山口が画家になるまでの経緯を整理し、山口作品にみられる特徴を分析しながら、日常風景を見つめる山口独自のまなざしのルーツに迫ります。『ルポ川崎』などの著書で知られるライター・磯部涼氏は川崎市の歴史とそれを背景に生まれた社会運動やラップミュージックを紹介しながら、川崎という街に根付く文化のカウンター性と山口の作品との結びつきを考察しています。
【目次】
・Works
・杉浦央子「SPOTとしての風景」
・磯部涼「山口幸士と川崎」
・作品リスト
・略歴
1982年神奈川県川崎市生まれ。街を遊び場とするスケートボードの柔軟な視点に強く影響を受け、日常の風景や身近にあるオブジェクトをモチーフにペインティング、ドローイング、コラージュなどさまざまな手法を用い独自の視点に転換する。2015年から3年間、ニューヨークでの活動を経て現在は東京を拠点に活動している。
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