百瀬文、初の作品集
ー身体をめぐる問いから生まれた17作品
コミュニケーションのなかで生じる不均衡をテーマに、セクシュアリティやジェンダーの問題を鋭くとらえ、作品を制作するアーティスト、百瀬文。
本書は作家初となる作品集。2013年のデビュー作《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》から、2022年の十和田市現代美術館での個展で発表した最新作まで、活動10年における代表作を収録するほか、各分野の専門家によるエッセイ、作家インタビュー等、様々な視点からその作品を考察する。
*本書の帯(シール状)はデザインが3種類あります。柄の指定はできません。
初期の作品から、十和田市現代美術館の個展「百瀬文 口を寄せる」(2022年12月10日~2023年6月4日)で発表した新作までの17作品を収録。すべての作品に見留さやかによる解説が掲載されています。
収録テキストは、百瀬作品の音読するという行為に着目した伊藤亜紗、2019年以降のパフォーマンス作品を分析した高嶋慈、作中に登場する口がもつ複層的な意味を考察した黒嵜想、作品と鑑賞者との関係性から見留さやかが執筆。作中のモチーフが持つ複層的な意味や、作家の鋭いまなざしに迫ります。
百瀬文のインタビューも収録。制作の動機から、映像というメディアについて、他者との関係やそこで生じた矛盾への向き合い方、ニューヨークとソウルへ滞在したことによるアイデンティティの変化、コロナ禍で見つけた連帯感など、百瀬自身の言葉で丁寧に語られています。聞き手は小澤慶介。
【収録内容】
[エッセイ]
伊藤亜紗「身体の捕獲 」
高嶋慈「視線と身体とセクシュアリティの政治に抗して̶百瀬文《Jokanaan》と《クローラー》を中心に 」
黒嵜想「オーラルセックス」
見留さやか「鑑賞者との多様な関係性 」
[インタビュー]
百瀬文インタビュー「人がともにあることのわからなさ、そして救い」(聞き手:小澤慶介)
掲載全作品解説付き/作家略歴/主要参考文献
1988年東京都生まれ。2011年、武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。2012年、「群馬青年ビエンナーレ2012」奨励賞受賞。2013年、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。他者とのコミュニケーションの複層性をテーマとし、身体・セクシュアリティ・ジ ェンダーに向ける視点を追求している。学生時代に発表した作品《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》等で注目され「アーティスト・ファイル 2015」 (国立新美術館)、「六本 木クロッシング2016」(森美術館)、「フェミニズムズ」(金沢21世紀美術館、2021年)などグループ展にも多数参加。主な個展は「百瀬文 口を寄せる」(十和田市現代美術館、2022年)ほか。
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